内務検査
七目七日の土曜日は
清潔整頓武器手入
検査検査で苦労する
毎週土喧日の午後、備付器材の整備整頓管理、班内外の清潔衛生、個人の所持品の検査があった。
銃の掃除桿が一本、累子廻しが一本足りなくても許されなかった。何でも軍隊は敏捷な奴が勝つ、のろのろしていると物乾場に行って見ると、自分の襦袢をさしくられて初年兵が泣いて帰る。
縫工場へ勤務している古兵が古衣を持って帰って員数を補う。班によっては天井裏に予備品を隠しておいて、いざ検査だという時の補填に充てていた。
軍隊は何処までも公明正大が要求される。後暗いことは最も嫌う処で、特に金銭時計などの貴重品が無くなると、すぐに全員講堂に集合を命ぜられる、各班長が手分をして心当珍を捜索する、それが見つかるまでは夜が来ても自室に帰ることは許されなかった。
若し人の物を盗んで持っていた等ということにでもなれぱ、その兵は一生うだつが上らぬ、一つ星で除隊せねばならぬ。
ある兵が金を包んで中隊長の機謙とりに伺った、その後随分真面目にやったが、緒局一つ星で除隊させられた。