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秋季演習

南鮮全羅北道、全州、任実面

 営庭で、練兵場で練りに練った戦技を実戦に生かす為に、毎年秋季演習が行われる。

 昭和六年九月二十一日、南鮮全羅北道、全州に到着一泊、敵となる部隊はその日のうちに出発して南進した。

 明けて、二十二日早朝、一番初めに斥侯を出す、その次に尖兵―尖兵中隊―前衛―本隊の縦隊で前進する。

 午後になって敵情がはっきりすると攻撃計劃が立てられ命令が下達された。

 聯隊長や聯隊付は馬の上で、命令受領者は歩きながら筆記する。

 命令が下達されると、砲兵は砂塵をあげて途中部隊を追越して前方に進出し砲列をしく、続いて本隊は展開して、夕方砲兵の制圧下に歩兵が前進し、敵陣に突込んで本日の基本戦闘を終った。

 この演習に私は本科初年兵として参加した、常日頃通信でさぼっている自分、それに日頃は空背嚢であるが、秋季演習になると、米・罐詰・着替被服・兵器手入具・飯合には飯が詰っており、背嚢の目方は三十キロからあり十里の行軍ですっかりへこたれてしまった。

 途中から足に血豆が出来て痛くてたまらなかった。任実面という小さな部落に泊った。

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